樹を植えよう! 一本の樹からはじまるストーリー

心地良い「住まい」づくりの際、ぜひトータルで考えてほしいのが「植栽」です。

住まいの雰囲気作りはもちろん、温度調節、防犯……など計画的に樹木を植えることでさまざまな効果が期待できます。

 

 

気持ちの良い光と温度をもたらしてくれる樹は?

植栽を計画するときには、植えようとする樹木が植えたい場所の環境に適したものであるかをまずはチェックしましょう。

たとえば日なたを好む樹木なのに、一日中日の当たらない場所に植え、枯らしてしまっては寂しいですよね。

さて、それを踏まえて植栽選びのポイントを効果別にご紹介します。

 

 

心地良い住まい(温度調節、自然光の利用など)づくりのために

なるべく電気や機械を使わずに自然のエネルギー(太陽光、熱、風)を上手に利用し、快適な住空間を実現する建築設計を「パッシブデザイン」といいます。温度調節や自然光の取り込みなど、住まい本体の設計だけでは補えない部分を植栽で解決することがあります。

具体的には夏は葉が茂る樹木は強い日差しを遮り、冬に落葉する樹木は暖かい日差しを部屋まで通します。まるで天然のルーバーのような役割ですね。

ずっと昔は家の南面に樹木を植えている家が多くありました。

理屈ではなく知恵として当たり前に「パッシブデザイン」を実践していたのですね。

 

<おすすめ樹木>

・落葉樹

冬は落葉しますが、春には花が咲いたり、秋には紅葉など季節を楽しめる樹木です。

 

 

防犯対策に向いている樹は?

空き巣などに狙われやすい家は、死角がたくさんあり、2階によじ登れそうな足場がある…など、意外にも高い壁や塀で厳重に囲った家だそうです。

その点、植栽ですと完全には囲わないものの隣家や通りからの視線を適度に遮るうえ、死角が減るので思いのほか防犯性は高いものとなります。

 

<おすすめ樹木>

・常緑樹

冬でも葉が残る樹木。目隠しに向いています。

 

・名脇役となる樹木

ハイノキ(常緑樹)、アオダモ(落葉樹)などは、葉がある程度の透過性をもって密集せずに茂ります。

世話も比較的手がかかりません。建物を際立たせてくれる佇まいの樹木です。

 

 

家族や街のシンボルになる樹は?

住まいが完成した、お子さんが誕生した、入学式や卒業式……など人生の節目に合わせて植えた樹が年を追うごとに大きくなっていくさまを見るのはとてもうれしいものです。

木の成長がそのまま家族の成長を記念するものだからでしょう。

また季節ごとに花や実をつける樹木は家族のほか、近所の方とのコミュニケーションにひと役買ってくれます。

このような家族や街のシンボルとなる樹木がある空間はとても温かく地域に開かれた生活をもたらしてくれそうです。

 

<おすすめ樹木>

・主役となる樹木

サクラ、モミジなど鑑賞の目的となる樹木。落葉樹に多いです。お花見などでご近所の方との会話にも花が咲きます。

・暮らしに寄り添う樹木

ジューンベリー、スダチ、レモンなど見て楽しむだけではなく、果実を収穫してお料理やお菓子に利用するなど、私たちの暮らしにもう一歩入り込んで楽しませてくれる樹木。

また、どんぐりの実がなるシラカシなども子どもとの暮らしを彩るストーリーが浮かび上がってくるおすすめの樹です。