注文住宅は大きく分けると以下の二つの方向性があります。

 

① 要望組み合わせ型
設計士のホンネ :ラク。過去の間取りストックや世の中にたくさん出回っている間取り集の中からチョイスして組み合わせればOKなので。

② 提案型
設計士のホンネ :大変。一定以上の経験値や能力がないとできないので人一倍の努力が必要。

 

 

例えば「リビングと隣接させて和室が欲しい」というご要望があったとします。

 

提案① :ご要望を描く
かしこまりました!と言ってリビングに隣接させた和室を設ける

 

提案② :ちょっと先までの生活を描く
そこはどんな使い方をしますか?と聞いていく中で、そうか和室というより普段はキッズルームとして使い、たまにの来客宿泊時には個室にしたいのですね!となり、普段はリビングと一続きで使えて個室にしたい時には区切れるようにした上で、キッチンで家事をしていても目が届く位置関係に間取りを描く

 

提案③ :人生を描く
②に加えてキッズルームとして使うのは子供が小さい内の数年間だけなので、近い将来は子供の宿題スペースやご夫婦のstudyスペースになり、遠い将来はご夫婦の寝室に変わるご提案をする。なので、個室として区切れ、かつキッチンから見渡せ、かつ少しでも庭に繋がり外の景色や植栽などを眺められるように間取りを描く

 

内容は一例ですし、他の部屋との兼ね合いや優先順位はありますが、考えの深みや設計の完成度は③が良いと誰でも思うはずです。
しかしながら、なかなか③まで提案してくれない会社さんが多い。仮に③のような要望をお客さんの方から出した場合に営業マンや設計士からの決まりセリフがあります。

 

「高くなります」「今回だとちょっと難しいです」

 

特に「お金がかかる」的なニュアンスは有効です。笑
皆さんもお金がかかるなら、、と諦める方が多いはず。
さて、皆さんお気づきですか?この時点ですでに 「注文住宅」から離れていっている事を。。

 

注文住宅はその名の通り、注文できる住宅なのです。だからこそ、すでに出来上がっている中から選ぶ建売住宅よりも高価なのです。

まず「できない」はお客様に対する対応が子供染みてますね。これから造るのだからできないは無い。あるとすれば、何らかのデメリットがあるために「やらない方が良い」です。

結果としてやらない方が良いとなったとしても、注文に対して試行錯誤をせずに「できない」と即答する家づくりはその時点で注文住宅ではないのです。
我々にしてみれば、注文住宅の費用を頂いて建売住宅の手間でつくれるカモネギ住宅です。(口が悪くてすみません。。)
これらは、正しく表現すると作り手側の都合で選択肢をうまくコントロールされた「セレクト住宅」なのです。

 

 

今まで、日本全国で自分自身の設計事例、設計指導、設計監修を通して1000件以上の注文住宅を見てきましたが、この「注文住宅=セレクト住宅」が非常に多い。
設計士側もそれに気づいていない事が多い。自分の設計や自社の家づくりを客観的に観れる経験は設計だけやっていては得れないので。私もかつてはそうでした。

 

話を戻しますと、

皆さんが、提案①を望まれるのであれば注文型建売住宅ですので、コストにこだわった方が良いです。
もしかしたらホームページなどでは注文住宅とは書いていないけど分譲建売をたくさんやられている会社さんに相談するのも良いと思います。
お客さんの用意した土地にいつもの建売を安価で建ててくれるかも知れません。

提案②と③は方向性は同じで各会社の実力差による場合が多いです。
比較検討し、できるだけ③のようなお客さんに寄り添いつつプロフェッショナルを感じられる提案をや受け答えをしてくれる会社さんを選ばれると良いです。

 

全国あちこちで家づくりを考えられている方々に対し家づくりセミナーを行っていますと、地域柄関係なく圧倒的に多く聞かれる質問があります。

 

「家づくりで失敗しない方法を教えてください」

 

少しでもと思いコラムに書きましたが、上記のような見抜く目や比較検討は私が実際に仕事しているこの道のプロだからという部分が大半です。
この質問を受けた時に私が決まってお答えする事は、

 

「方法があるとすれば一つ。信頼できる専門家のパートナーを見つける事です。皆さん、住宅会社ってどこにするか決めてから決めないといけないと考えてますよね?」と。
(ちょっと何言ってるかわからんですね。笑)

 

要は、住宅会社をどこにすれば良いか、どう決めれば良いかという事から住宅会社に相談されると良いです。
相談したからと言ってそこに決めなきゃいけないわけではない。相談した結果、違うなと思ったら丁重にお断りすれば良いのです。ちょっと違いましたって。笑
業界の色んな人に怒られそうですね。。

 

でも、家づくりって結婚に近いほど人生で唯一の経験なので、会っていきなり決められる方がおかしいです。
どうかこれを読んでくださった皆さんの家づくりが素敵なものになりますように。